1回あたりの単価 — 本当に見るべき数字
1回あたりの単価とは、服の値段を着た回数で割った数字です。25,000円のコートを100回着れば1回250円。3,000円のトップスを2回着ただけなら1回1,500円。この物差しでは、7倍以上の値段だったコートのほうが6倍安いことになります。
計算式そのものは単純です。役に立つのは、この式が自分の見積もりに何をするか。ほとんどの人は「どれだけ着るか」を決まった方向に読み違えているからです。
計算のしかた
1回あたりの単価 = 総コスト ÷ 着用回数。
総コストには、その服を着られる状態に保つ費用も入れます。大きいのはクリーニング代です。年4回、1回1,500円のジャケットなら年6,000円。中価格帯の服なら、寿命の間に実質コストが倍になることもあります。お直し代も一度きりとはいえ同様です。
正直さが問われるのは、着用回数のほうです。
見積もりが外れる理由
憧れで買った服は回数を多く見積もり、地味な服は少なく見積もります。「絶対また着る」と思った結婚式用のワンピースは1回で終わり、買うか迷ったグレーのニットは4年間、毎週着ることになります。
現実的な見積もり方はこうです。「いま持っているいちばん近い服を、去年何回着たか」を思い出してください。着られたはずの回数ではなく、実際に着た回数です。比較できる服が1枚もないなら、それは情報の不足ではなく危険信号です。
- 日常の定番 — 生活に合っていれば年50〜100回はあり得ます
- オフィス用 — 実際に出社する日数が上限です
- 季節もののアウター — その季節の長さが上限。多くの地域で60〜90日
- 礼服・パーティー用 — 厳しく見ること。よくて年1〜3回です
正しい問いは「着るかどうか」ではなく「この1か月のいつ、具体的に着るか」。 場面を2つ挙げられないなら、実際の回数は思っているより少なくなります。
この数字の本当の使いどころ
1回あたりの単価は、買った後で自分を納得させるためではなく、本当に迷っている2択を比べるためのものです。正直に使えば、こうなります。
- 毎日着るカテゴリー——アウター、靴、履き倒すボトムス——にはもっと出す
- 1回きりの用事や流行に結びついたものには出さない
- 手持ちの何とも合わない安い服は買わない。値段の安さは回数の少なさを救わないからです
最後の点は立ち止まる価値があります。何とも合わない2,000円のトップスは、毎朝着る15,000円のコートより1回あたりの単価が悪い。値段と価値は別の軸にあります。
この数字が見落とすもの
1回あたりの単価は、サイズ感も着心地も「好きかどうか」も測れません。手持ちで唯一暖かいから毎日着ている安いジャケットは、数字だけは優秀で、毎日あなたを少し不機嫌にします。
それ単体で買う理由にもなりません。将来の着用回数を多めに置けば、どんな服でも賢い買い物に見えます——人が自分を説得する手口そのものです。この式は悲観的な見積もりでしか機能しません。
耐久性についても何も語りません。1シーズンでへたる25,000円のコートは「1回250円のコート」ではない。予測を信じる前に、縫製と生地を確かめてください。
計算してみた3つの例
冬のコート。 25,000円、4か月ほぼ毎日——年90回としましょう。クリーニング年2回で1回1,800円。1年目は28,600円 ÷ 90 = 1回約318円。3年目まで持てば購入価格が270回に分散し、クリーニング込みで1回約140円。良い買い物とはこういう形をしています。
結婚式用のワンピース。 16,000円、2年で2回着用、クリーニング1回2,000円。18,000円 ÷ 2 = 1回9,000円。必ずしも失敗ではありません——場面がそれに値することもあります——が、コートの約30倍の単価だと知っておく価値はあります。
2,500円の衝動買いのトップス。 安いから買い、合うボトムスは1本だけ、洗濯で形が崩れるまで3回着用。1回833円で、しかも困っていた問題を何ひとつ解決していません。安さは価値ではなく、損失が無視できるほど小さいというだけ。だからこそ同じことを繰り返すのです。
カテゴリー別の目安
ルールではありませんが、良い数字かどうかの感覚はつかめます。
- 日常の定番 — 1回100円以下は、選び方さえ良ければ十分届きます
- アウターと靴 — 働く量を考えると1回150〜400円なら上出来
- オフィス用 — 1回300〜700円。年間の出社日数が天井です
- 礼服 — 1回3,000円を切ることは稀。数字ではなく「その場面に値したか」で判断を
リセールを織り込む場合
定期的に売っているなら式は変わります。割る前に、見込みの売却額を総コストから引いてください。40,000円のコートを16,000円で売れば、実質コストは24,000円です。
注意が2つ。売却価格は買う瞬間に決まります——決めるのはブランド・状態・デザインであって、売るつもりがあるかどうかではありません。そしてほとんどの人は予定よりずっと売りません。メルカリやラクマに出品するのは、れっきとした手間だからです。実際に売った実績があるときだけ、この補正を使ってください。
買う前のフィルターとして使う
行動が変わるのは短い版です。買う前に3つ。
- この1か月のいつ、具体的に着る? 場面を2つ挙げる。仮定は無し。
- いちばん近い手持ちを去年何回着た? 楽観的な数字ではなく、その数字を。
- 維持にいくらかかる? 寿命の間のクリーニング代を足す。
出てきた数字が、比べていたもう一方より悪いなら、もう一方を買う。1つ目に答えられないなら、答えはもう出ています。
表計算なしで記録する
ほとんどの人が自分の1回あたりの単価を知らないのは、着用回数を数えていないからです。後から思い出して見積もれば、正そうとした偏りをそのまま再現するだけになります。
ここがデジタルワードローブの実利のひとつです。コーデを記録するたびに着用カウンターが上がれば、その数字は推測ではなく実測になります。1年経てば、どの服が場所を勝ち取ったかがそのまま見えます。
Closetelle は服をデジタルワードローブに変え、コーディネートを提案します。
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